
今、なぜ、民泊なのか?
私は、コロナ以前から、東京23区内を中心として、住宅宿泊事業法による民泊届出および、旅館業法による旅館業申請を請け負わせていただき、コロナ禍においての、ホスト様、事業者様の大変さも、多少なりとも共感できる立場です。
旅が好きで、これまで何度も旅行によって、ストレスを癒し、元気をもらってきた私にとって、このコロナ禍は大変辛い時期です。しかし、このような時だからこそ、日本の宿泊業を含む観光業を支える人たちの力になりたい!という想いから、このサイトでは、【民泊(住宅宿泊事業)】と【旅館ホテル(旅館業法)】を応援するような情報をまとめていきます。
民泊の現状
届出住宅数等の推移
日本では2020年1月から始まった、新型コロナウィルス感染症による、宿泊業を含む観光業への影響は甚大なものとなっています。
もともと東京オリンピックに向けて、日本におけるインバウンド需要は右肩上がりが予想され、宿泊施設の不足が懸念されていた事もあり、民泊の件数も伸び続けていましたが、2022年をむかえた現在は、どのような状況なのか、まとめてみました。

届出住宅数(届出件数-廃止件数)をみると、2020年4月くらいを頭に、少しずつ減少していますが、この減少数にとどまっているのは、外国人観光客が激減したこの苦しい状況下において、ターゲット層の変更への対応など、運営されている方々の努力の賜物ではないでしょうか。
都道府県別、東京都23区別、状況一覧
コロナ発生前(令和元年12月11日時点)の状況一覧

令和4年1月17日時点の状況一覧

コロナ発生直前と、令和4年1月の数値を比較してみると、事業廃止件数が5倍以上となっていますが、届出件数はコロナ発生直前よりも増加しています。(そもそもコロナ発生直前期は、住宅宿泊事業法が施行されて間もない時期でもあり、比較は難しいかもしれません。)
民泊をめぐる世界の状況
世界では減少どころか増加している?
バケーションレンタル管理会社の数
- 2018年:11万5000社ほど
- 2021年:14万社を超えている
海外では、民泊=バケーションレンタルと呼ばれており、これらを含む民泊ビジネスは、今後も大きくなると予想されています。
日本の場合の【住宅宿泊管理業者】の登録数
- 2019年12月11日:1977件
- 2022年1月17日:2388件
海外のバケーションレンタル管理会社の増加と同様に、住宅宿泊管理業者の登録数も増加しています。住宅宿泊管理業自体、2018年に登録申請が開始されたばかりとはいえ、コロナ禍においても減少はしていません。
2022年以降の国外旅行は活性化する?
世界旅行ツーリズム協議会が2021年10月に発表した最新の予測では、2021年の国内市場で成長機会があっただけでなく、2022年以降の国外旅行も活性化すると示唆しています。
全世界のGDPに対して、旅行・観光業界の寄与額は
- 2020年:前年比49.1%減少
- 2022年: 31.7%上昇予想
今後は渡航制限が緩和が増加していけば、2022年のアジア太平洋地域における国外旅行支出の成長率は148.3%になるという予測があります。
※出典:2021年以降の旅行・観光業界の最新消費者動向(世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)、Trip.com Group)より
宿泊業をめぐる日本のこれから
2022年度観光庁予算
- 国内交流の回復・新たな交流市場の開拓・・・・・・・・・・・7億7300万円
- 観光産業の変革 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23億3100万円
- 交流拡大により豊かさを実感できる地域の実現・・・・・・・・9億1400万円
- 国際交流回復に向けた準備と質的な変革 ・・・・・・・・・・95億1600万円
(出典:令和4年度 観光庁関係予算決定概要)
これらの予算の中の、「1.国内交流の回復・新たな交流市場の開拓」が、前年の5億400万円から53%増の7億7300万円となったことに注目しています。この増加は、ほぼ、ポストコロナの新コンテンツ支援事業に新規で予算がついた事による増加となっています。
この、ポストコロナの新コンテンツ支援事業とは何かというと、地域交流を通じて第二のふるさと化を促進し、中長期滞在者を増やして誘客を目指すDMO(※1)や観光事業者、自治体等を支援するものです。取組内容としては、人々のニーズの多様化を踏まえた、誘客テーマやターゲットの明確化、コンテンツの高付加価値化、マーケティング等の専門家等によりノウハウ支援等があげられます。特に、密を避け自然環境に触れる旅へのニーズの増加、田舎にあこがれる動きを踏まえた、いわば「第2のふるさと」を作り「何度も遠きに通う旅、帰る旅」というスタイルのモデル実証には、これまで注目されにくかった地方が活性化する事にもつながりそうです。
※1) DMO(観光地域づくり法人)は、地域の「稼ぐ力」を引き出すとともに地域への誇りと愛着を醸成する「観光地経営」の視点に立った観光地域づくりの舵取り役として、多様な関係者と協同しながら、明確なコンセプトに基づいた観光地域づくりを実現するための戦略を策定するとともに、戦略を着実に実施するための調整機能を備えた法人。
参照:観光庁ホームページ(https://www.mlit.go.jp/kankocho/page04_000048.html)
民泊の新しい活用
リモートワークに慣れた人たちの間でも、長期で民泊を楽しむケースも増えているようです。
例えば数週間、民泊を借りて宿泊しながら仕事をしたり、一軒家型の民泊を数人で借り、リーズナブルに、かつ、非接触を可能にした形でコロナ禍のストレスを発散しながら過ごす事も魅力のひとつとなっています。
・リモートワークの定着化
・人口密度の高い首都圏から脱出する人の増加
・家族内感染を防ぐための自主隔離 など…
コロナ禍である状況だからこその民泊を含む宿泊施設の新しい利用スタイルが増えてきているのは間違いないでしょう。
また、インバウンド需要の回復に備えて、日本人がまだ知らない日本の良さを再発見できる時期でもあると思います。毎年海外旅行へ行っていた人たちも、せっかくなら国内の行ったこと事がない土地へ旅してみよう!または、いつも日帰りで観光する土地に、あえて宿泊する事で贅沢に時間を過ごしてみる…など、これまでになかった選択肢が国内で広がっているのかもしれません。
在宅勤務、テレワーク、ワーケーション、様々な働き方が定着しつつある中で、様々なニーズに合わせたプランを提供する宿泊施設も増えています。
ワークライフバランスが叫ばれる中で、働きすぎと言われる日本人が、ずっと見直したかった「働き方」を、このコロナ禍で見直すきっかけになっているのではないでしょうか。